人の存在は小さいけど広大
このブログにも写真で載せた事がありますけど、私は、四国八十八ヶ所巡りというのをしているのです。元々は母親が一人で巡っていたのですけど、もう高齢だという事で、私が付いて行ってるわけです。
それは、高知県の海辺の宿に止まった時の事でした。「徳増」というその民宿の目前の海は、サーフィンのメッカでもあり、宿には私のようなお遍路さん以外にも、サーファーたちが泊まっていました。
夕食を終えて、二階の宿泊する部屋に戻ろうとした私は、階段の横に立って何かを見ている母親に気づきました。どうやら、小さな写真立ての中の写真を見ているようです。母親は私に気づいて、こう言いました。
「この写真・・・山本太郎さんや」
・・・山本太郎?
私は母親の横に行って、その写真を見ました。日に焼けた顔の、真っ白な歯で笑っている男性が、この宿のお婆さんと二人で写っています。
その爽やかな男性は、チューブのボーカリスト、前田さんでありました。おそらく、サーファーでもある前田さんが、この宿に泊まった事があるのでしょう。そして記念に、宿の人が前田さんにお願いして、お婆ちゃんと写真を撮ってもらったに違いない。
チューブ、と言っても、母親には分からないでしょうから、私は、
「この人はな、歌手で前田っていう人や・・・」
そう、言ったのです。母親は、
「違うっ、この人は山本太郎さんやっ」
と、断固として聞き入れてくれませんでした。私は、それ以上の説得はやめて、部屋に戻ったのです。
民宿徳増は、海辺の宿らしく、夜空は都会では見ることのできない満天の星空でした。
山本太郎とはいったい、誰なのだろう・・・