片隅の町の幸せ

それは、あなたの小さな幸せ

 今朝は、久しぶりに皮膚科に行ってきた。背中の湿疹をこれ以上放っておくと、悪化が止まらないと思ったからだ。

 今は、突然出てくる湿疹に、うまく対応できていると思っている。これは、そのうち無くなっていくな。これはもっと悪くなる、病院にいかないと。と、自分で判断できるのだ。

 その判断が、最初はできなかった。

 


 二十代の初め頃、首筋と背中に突然、湿疹が発症して、その湿疹が皮膚の上で盛り上がってきたのだ。いわゆる、乾癬というヤツだ。シャツが液で黄色く汚れて、あまりの痒みにかきむしってしまったら、背中が真っ赤なかさぶただらけになった。シャツが今度は、血で赤く汚れるようになる。

 その時病院に行かなかったのは、当時、「ステロイド剤は体に悪い」・・・という民間療法家さんが訴える文句が、いたるところに出回っていたから。「ステロイド剤でこんなに悪化した」・・・と、実例という写真が出回ってたりして、怖かったのだ。

 私が最初にかかった皮膚科がひどい先生だったというのも、影響した。私のシャツを指先でめくって、中をちょっとのぞいただけの診察だった。それで処方されたステロイド剤を、恐る恐る患部に塗ったのだが、医者への不信感でステロイド剤を使うのをすぐにやめた。すると、リバウンドでさらに悪くなって、民間療法家の言う事は本当だと信じたのだ。その病院では、ステロイド剤の説明をしてくれてはいなかった。

 整体を学んでいる友達に、師匠である整体師を紹介してもらった。その整体の先生はアトピー性皮膚炎に取り組んでいるらしく、「ステロイドは絶対に使うな。毒だから」と断言した。「背骨の調整で副腎質ホルモンのバランスを正常に治す」という。

 理論はどうでもいいんだが、治りはしなかった。というより、かさぶただらけの背中をグイグイ押されるのが苦痛で仕方ない。この人は皮膚病の苦しみを知らない、と、でっぷりとして血色の良いその整体師の顔を見て、そう思った。

 首、背中、手、目の回り・・・皮膚炎は拡がって、何でこんな目にあわないといけないんだ、と悔しかった。



 
 今通院している皮膚科は、私の状態を見て、みるにみかねた知り合いにすすめられたのだ。皮膚科不信の私も、あまりに辛いので、毒でもいいから体に塗って、一時だけでも楽になりたいと思って、受診した。

 そこの先生は、私を裸にした。患部をじっくりと見たのだ。まずそれに驚いた。「これは、きついなあ・・・」と言って、皮膚に触り、看護婦さんにステロイド剤をその場で塗布させた。ちょくせつ患部を触ったことに、もっと驚いた。

 採血もさせられた。皮膚科って、注射使うんだ、とまた驚いた。アレルギー検査をするんだと言う。

 その先生は、ステロイドを「毒」とは言わなかったが、使い続けることの副作用を、詳しく説明してくれた。そして、数種類のステロイドを出されて、患部によって使い分けをするように言われた。ステロイドにも強さがあるらしい。

 「使っていると、にきびが出る事もあります」
 その先生の言う通り、そんな症状が出た。だけど、事前の説明であわてる事はなかった。

 血だらけのかさぶたがポロポロと剥がれ落ちて、普通の皮膚が見えてきたときは嬉しかった。その皮膚も青黒い痣のようだったが、その痣も自然に消えた。



 
 今朝の診察は、一分くらいの短いものだったけど、年始で混んでいるから仕方ない。私はそんな感じだ。変わった事があればこちらから言うし、その先生はもう、私の状態・症状を良く知っている。

 受付でステロイド剤をもらったときは、なんだかホッとした。