片隅の町の幸せ

それは、あなたの小さな幸せ

父親

 父親の最近の楽しみは、公民館でやっている老人会の、賭けず・吸わず・争わずが三原則の「マージャン倶楽部」だ。週に二回ほど顔を出している。

 午前中から行って、午後二時くらいに帰ってくる。もっと早く、昼食の時間に合うように帰って来いと、母親にどやされる。その繰り返しだ。

 なんでも、老人会のマージャンはボケ予防に最適らしい。台は全自動ではない。手でジャラジャラジャラ・・・とかき回すのが、手と腕のトレーニングになる。そして、マージャンはもちろん、頭を使う。

 しかも、家と公民館の道程は、行きは下りを、帰りは登りを歩く。足腰の鍛錬だ。

 だから、マージャンは最強のボケ予防なんだって。まったく・・・



 考えてみると、昔は父親のマージャン狂いに、母親は暗い顔してたな。夜中に帰ってきて、母親を困らせる。昼飯に帰って来いという今と、えらい違いだ。家にマージャン仲間を呼んでジャラジャラやってるのを、嫌そうに母親は見てたな。金を賭けてたんだろう。父親がいない時に、変なオッサンが家に来た時もあった。気持ちの悪い電話もかかってきたぞ。

 私はマージャンやらないのだけどさ、ボケ予防ってんなら、若いときにギャンブル覚えるのも、いいって事か?