片隅の町の幸せ

それは、あなたの小さな幸せ

ぬくもりだって憶えてる

 小学校の一年生の時、担任の先生は、女の若くて綺麗な先生だった。ある日、掃除の時間に私はさぼって、友達とふざけて遊んでた。そしたらその先生がやって来て、私の頬をおもいきり、バッチーンッて張り倒したんだ。

 女の人に頬を引っ叩かれたのは、母親以外には後にも先にも、その先生だけだ。

 先生は呆然とする私を引っぱって、廊下に立たせた。しばらく立ってなさい、と言う。今ではないのかもしれないが、私が小学生の時は、廊下に立たせたり、正座させたりは、よくあったお仕置きだ。

 どのくらい立ってたか・・・なんか寒くて泣きそうになってた時、先生がやって来て、教室に戻りなさい、と言ってくれた。そして、私をギュッて抱きしめたんだ。殴られた時より驚いた。先生の体は、すごく温かかった。それからなんか私に言ったけど、憶えていない。体の温もりだけが記憶に残っている。

 私が通ってた小学校は、一人の先生で二年担任制だったのだけど、結局その先生は、結婚して一年で辞めていった。

 今どうしてるんだろう・・・って、時々思う。幸せでいてくれたらな、そう考える。

 幸せでいてくれたら・・・
 すれちがってきた全ての人に対して、そう思えないのが、私という人間だ。