片隅の町の幸せ

それは、あなたの小さな幸せ

床屋の大将

 私は、散髪を1680円で済ましている。私の頭は、バリカンで坊主だ。だが、ただの坊主ではない。頭頂部を三枚ガリ、側頭部と後頭部を二枚ガリにしている・・・ふっふっふっ・・・

 で、私が通っている理髪店のオヤジは、その事をちゃんと覚えている。
 「上が三枚。横と後ろが二枚。もみあげは自然ですね」

 と、私が何も言わずとも、散髪の作業を始める。他の従業員に当たったら、こうはいかない。毎回、こうでこうでと、説明する。

 オヤジさんは、馴染みの、どのお客さんの事も、すべて把握しているようだ。一度、新聞店でオヤジさんの事を話したら、六十代の配達員が腕を組んで、

 「たいしたもんやで、あの大将は。客の事をよお知っとる・・・」

 と、しきりにうなずいていた。

 次回でポイントが一杯になる。なると、プレゼントがもらえるのだが、何をくれるのだろうか。店内の隅には、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)の箱が積まれていて、子供にプレゼントしているのを見たことがある。

 私も、アレか?というか、あの大将にガンプラをプレゼントされて、おっさんの私はなんて言えばいいのだ??