片隅の町の幸せ

それは、あなたの小さな幸せ

手・・・武器

 手は、言葉と同じか、それ以上に、メッセージを伝えることができる部位だと思う。つまり、それだけ恐ろしい武器を身につけている、ということだ。


 前の職場に、人と話すとき、相手の顔に手をピストルのようにして突きつけて、話す男がいた。無意識にしていることで、何の悪気もない癖なのだが・・・

 その男は皆から嫌われていた。嫌われる・・・いや、恨まれていた。

 それはそうかもしれないな。その男は人と話すときいつも、相手に、手で作ったピストルで、弾丸を撃ち込んでいたんだから。


 私の父親がそうだが、車に乗っていて、対向車に道をゆずる時など、手の甲を相手に向けて、ヒョイヒョイとする。「お先にどうぞ」、ということだが、相手はムッとしている。「さっさと行け」、に感じているのだ。

 手のひらを上に向けて、差し出せば、ちゃんと「どうぞ」になる。父親に忠告したことがあるが、年寄りは頑固だ。聞く耳を持たない。他人から睨まれている事にも、気づかない。


 手は恐ろしい、ということを自覚しないといけないのだ。人に手の甲で触れる、人に手のひらで触れる。同じようでまったく違う。自分がされてみても分かる。手の甲で触れられると、「どけ」に感じる。手のひらで触れられると、「おい、この頃どうしてる?」に感じてホッとする。


 女性と、手をつなぐことを最近していない・・・それだけで寂しい人生を送っているように思えてしまう(_ _)