片隅の町の幸せ

それは、あなたの小さな幸せ

道②


 ベッキーちゃん。
 彼女のことを詳しく知っているわけではありません。現在はもう、二十代後半でしょうか?美しい女性ですね。それにとても仕事熱心で、気配りのいきとどく女性であるらしいですね。
 前回、私のスケベ道に影響を与えた女性と説明しました。もっと丁寧にいうと、大自然のように果てしなく続くスケベ道の、扉を開くきっかけを与えてくれた女性、という方が正確でしょう。



 ベッキーちゃんを初めて見たのは、もう十数年前になります。彼女が十代の、デビューして間もない頃です。
 イギリス人の父親を持つハーフの少女。なんと可愛らしいのだろう・・・。テレビ画面に釘付けになったものです。フランス人形みたいな少女だと感激しました。
 しかし・・・
 彼女の青い瞳は、なぜか、何かに向かって攻撃的な意思を秘めていたのです。
 それは何なのか・・・



 「私は絶対に痴漢を許しませんっ」 
 お笑い番組であるにも関わらず、周囲を震え上がらすほどの視線でテレビカメラを睨みつけて、ベッキーちゃんはいいのけました。
 司会者が聞くところによると。彼女は電車内で頻繁に痴漢にあうらしい。そしてその痴漢を、必ず捕まえるのだそうです。もし逃げたとしても、追いかけます。走って逃げる痴漢を走って追いかけ、改札口を飛び越えてでも追いかけ、決して逃がさない。
 そのことを語るベッキーちゃんの青い瞳は、まるで草食動物を捕食する肉食動物のような凶暴さでした。



<つづく>