片隅の町の幸せ

それは、あなたの小さな幸せ

・・・前へっ! その二

 地下アイドルグループ、〇〇〇のワンマンライブ当日、私は、『山のふどう』とも『ゴルゴ』とも呼ばれる知り合いのマンションに向かいました。
 彼の部屋で少し仕事の話をして、それからライブに行く段取りだったのです。




 ・・・地下アイドル・・・




 なんでしょう、この陰湿な響き。
 アイドルといえば、スポットライトを太陽のように浴びる美少女スターたち・・・。
 地下ってどういうことなんだ・・・。




 巨漢の知り合いの部屋はごく普通の男の部屋でした。適度に散らばっている、ありふれた男臭さ。テーブルの上に、一枚のブロマイドが無造作に置いてある。それにはぶりっこ風の少女の笑顔が。そしてマジックで走り書きされてあるのはサインのようです。なにか、メッセージが書き添えられている・・・



 
 「ああ、それね。この前のライブの、サイン会でもらったんですよ」





 こんなメッセージが書かれていました。







 『ゴルゴさんに会いたくて、やばいです』





 どうやら巨漢の知り合いは自らのことを『ゴルゴ』と、自分から紹介しているようでした。




<つづく>