片隅の町の幸せ

それは、あなたの小さな幸せ

フライッ・デリバリー・フライッ

 昨日、新聞配達をしていた時です。ある家でポストに新聞を入れようとしたら、なんか視線を感じてヒョイと下を見たんです。そしたら、一匹のアゲハチョウが、側溝の壁にしがみついて、時々、羽根をはばたかせようとしている。側溝の下には、雨水が流れています。
 激しい雨上がりの後です。ひょっとして、羽根が濡れて飛べないのだろうか?この側溝に落ちかけているんだろうか?
 私はバイクのエンジンを停めて、アゲハチョウをつまみ上げ・・・ようとしたら、アゲハは逃げようとして逆に側溝の底に落ちてしまった。
 「あー・・・」
 また余計なことをしてしまったのかあっ!

 
 昔、怪我をして道路に落ちてあがいているスズメを拾おうとして逃げられ、そのスズメはどぶに落ちて、そのまま動かなくなってしまった事があるんです。罪悪感に打ちのめされながら、そのスズメを木の横に埋めたのですが・・・

 今回もあのパターンかっ??ああ〜・・・。
 諦めきれず、水浸しのアゲハを摘み上げました。そして道路の上に置いた。動かない。
 「どうしたん?」
 と、いつもすれ違う、犬の散歩おばさんがいつの間にか隣に来ている。事情を説明したら、
 「こんなとこ置いといたら、危ないで。ああ、あっちに置いとき」
 私とおばさんと犬は、土手の上に置いたアゲハチョウをしばらく見ていたのですが・・・

 パタ・パタ・パタタ・・・パタタ・・・
 アゲハは飛んだり着地したりを繰りかえしだした。必死だ。やっぱり罪悪感があった。飛んでいけるのだろうか?やっぱり余計なことをしたという思いがあった。
 ・・・そういえば、蝶の羽根って、濡れないって聴いたことがある・・・



 「この大空にぃっ、翼を広げぇっ、飛んでぇ、いきたぁいぃよぉーっ・・・」
 なんて歌があるけど、とんでもないな。人間は足腰を鍛えるべきだ。