片隅の町の幸せ

それは、あなたの小さな幸せ

配達員も濡れる片隅の街角・・・心をつないだバトン

 ようやく雲の間から、吸い込まれそうな晴れ間が見えてきました。昨日は、一日中雨でしたね(^^;)。雨の日の新聞配達でしたよ。そして、こんな出来事がありました。

 ある一軒の家の郵便ポストに向けて、バイクを減速していたのです。そしたら、玄関からその家のお婆ちゃんが出てきた。目が合い、私は会釈をしながら、バイクをポストの前に停めたのです。
 「こんにちわーっ」
 そう声を掛けると、お婆ちゃんは、ポスト横の垣根から、手を伸ばそうとするのです。新聞を直接くれということでしょう。私は、新聞を四つ折りにし、バイクから身を乗り出すようにして、腕を伸ばしました。

 パシンッ・・・

 私が差し出した新聞が、お婆ちゃんの皺くちゃの手の中で、雨の日だというのに乾いたいい音を立てたのです。

 こ、これは・・・、このタイミングは・・・

 私の脳裏に、北京オリンピック、男子400mリレーでみごと銅メダルを獲った日本チームの四人が駆け巡りました。体格に劣る日本チームがメダルを獲れたのは、他国を寄せ付けない、バトンパスのテクニックの産物だと聞いたことがあります。

 手を伸ばしたお婆ちゃん、新聞を畳むスピード、バイクから身を乗り出し新聞を差し出したタイミング・・・全てが、あの時の日本チームを越えていたのではないか?

 新聞の両端をつかみ合ったままの上体で、私は顔を上げました。お婆ちゃんが、ニヤリとして私を見ています。それはまるで、
 『ナイスパス。あんた、やるね』
 そう言ってるようでした。そして、数秒間、見つめ合っていたのです。


 私が去っても、お婆ちゃんは、雨の中、しばらく見送ってくれていました。見つめ合っている時間、ちょっとドキドキしていたのですが、アレはなんだったのだ?

 メイビー、もしかして
 ・・・恋?・・・そんなの・・・

 ��(´□`;) イヤーッ!!