器とオカン

 昨日の新聞店でのことだ。私が風邪で鼻をグジュグジュさせてたら、
 「花粉症?」
 と、ある配達員が寄ってきた。その配達員も鼻をグジュグジュさせている。私は風邪であることを告げたのだが、その配達員こそ、花粉症だというのだ。

 その配達員は、三十過ぎてから花粉症を発症したらしい。
 「体の中にはな、容器があって、発症因子がその容器に少しずつ溜まっていくねん。それで、ついに溢れ出した時、花粉症になるねんで」
 なんとなく自慢げに、その配達員は言った。


 そういや、テレビコマーシャルで、そんなのを観たことがある。心の病のコマーシャルだ。水道の蛇口から、ちょろちょろの水が、ガラスコップに注がれていく。そしてついに、溢れ出すのだ。頭を抱え込む人。
 そんなコマーシャルだった。


 本当に、そんな容器やコップを、人は持ってるのかな。もってると想像したら、ビクビクしてしまう。私は今、どんな発症因子を溜め込んでいるんだろう・・・って。そしてそれはいつ、発症するんだろう・・・って。

 
 先日、こんな事があった。風邪のピークの時、何度も鼻をかんで、ティッシュをゴミ箱に捨ててたのだ。そしたら、オカンがやって来て、

 「ちょっとあんたっ、ゴミ箱、ティッシュであふれてしもてるやんかっ。あーあー、床に落ちてるぅっ。袋、換えーやっ」
 病人の私に荒々しくそう言って、ゴミ箱の袋を取り出し、新しい袋を、私に放り投げたのだ。私は言い返す元気もなく、その袋をゴミ箱に入れた。

・・・オカン・・・