お遍路のこと③・・・流れ着く

 四国のお遍路というと、昔は、罪人を放り込み、ぐるぐると四国を周回させる。やがて野たれ死んだら、その土地の人がそこに、無縁仏の墓を建てたそうです。または、家族の、自分の難病の治癒祈願を胸に、人々が遍路をしたそうです。 



 花へんろと言う作品を書いた作家の早坂暁さんが、現在の四国遍路について、こう言っております。


 「自分とは何者か?自分の存在を見失った人たちが、それを探しにやって来る時代になった」

 
 確かに、若い青年や女子の遍路姿を、よく見かけたりしました。または、リストラされた行き場のない中年、定年して空虚な時間を持った男性。一方で、ある程度お年をめされた女性は、活力に溢れているような気がしました。おばさんパワー・・・と言えばいいのでしょうか?


 バスツアーで観光として遍路を楽しむ、大勢のおばさんたち。現在の最も素晴らしい形式ではないかと思います。四国の民宿や旅館、観光業界も苦しいそうだ。経済的に余裕のある人たちが陽気にお金を落としてくれて行った方が、助かると思います。



 そんな現代でも、訳ありで四国の地に紛れ込むような人も、少なからずいるようです。母親が、そんな男性に会ったのだそうです。
 「次の目的のお寺まで、乗せていってあげよう」・・・そんな一台の親切な車に、ある男性遍路と、同乗したのだそうです。その男性は、20キロはあろうリュックにテント。重々しい荷物のくせに、痩せこけて精気のない全身。明らかに、普通とは違うと、母親は思ったそうです。



 そして、それから数年・・・
 家でテレビを観ていた母親は、遍路で遭遇した男性が、画面に登場していると、わめいたのです。
 「この人や。私が会った、変な男の人やっ」



 それは、NHKの、
 『冬、四国へんろ物語』 
 という、特集番組でした・・・